朝晩の空気が、ひんやりとしてきました。気づけば虫の声も、日ごとに細くなっています。
夏の暑さが去って、ようやくほっとできる季節。それなのに、なぜか眠りが浅い、寝つけない、夜中に目が覚める ― そんな声を、この時期よく聞きます。
実は、秋は眠りが乱れやすい季節。そこには、東洋医学の目で見ると、ちゃんとした理由があります。この記事では、秋に眠れなくなる理由と、今夜からできる「夜の養生」をまとめました。
なぜ、秋は眠れなくなるのか
夏に失った「潤い」が、戻りきっていない
東洋医学では、秋は「肺(はい)」と「乾燥(燥邪)」の季節とされます。
夏のあいだ、私たちは汗とともに、体を潤す水分(陰・いん)をたくさん失っています。この潤いには、実は昂ぶった体や神経を鎮めるという大切な働きがあります。冷たい水が、火照ったものをさますように。
その潤いが足りないまま秋が深まると、夜になっても神経が鎮まらず、頭が冴えて眠れなくなります。喉が乾く、肌がカサつくといった「乾きのサイン」が出ている人は、眠りも浅くなりやすいのです。
寒暖差で、自律神経が疲れている
秋は、日中はあたたかいのに朝晩はぐっと冷える、寒暖差の大きい季節。この温度差に体がついていけず、自律神経が乱れます。自律神経は眠りのオン・オフを切り替えるスイッチですから、ここが疲れると、寝つきや眠りの深さに影響が出ます。
陽から陰へ、季節が切り替わる
秋は、自然全体が「活動」から「静けさ」へ、陽から陰へと切り替わる季節。日が短くなり、心も内へ向かいやすくなります。物思いにふけって、あれこれ考えて寝つけない ― そんな夜が増えるのも、季節のせいでもあるのです。
眠りを整える、夜の養生
眠れない夜のために、今夜からできることを並べておきます。どれも、特別な道具のいらない、やさしい養生です。
湯船に、ゆっくり浸かる
夏のあいだのシャワー習慣が、まだ残っていませんか。ぬるめのお湯に15分ほど浸かると、寒暖差で疲れた自律神経がゆるみます。一度上がった体温が、寝る頃にゆるやかに下がっていく ― この温度の下り坂が、眠りを誘ってくれます。
足元を、温める
秋は、足先の冷えが眠りを妨げます。靴下やレッグウォーマーで足元を温めておくと、寝つきが楽になります。冷えのぼせで「顔は火照るのに足は冷える」という方は、特に足元を大切に。
寝る前の一杯は、温かいものを
寝る前に、白湯やノンカフェインの温かい飲み物を少し。内臓が温まり、体がゆるみます。逆に、夕方以降のコーヒーや緑茶などのカフェインは、眠りを浅くするので控えめに。
寝室を、暗く静かに
夜が長くなる秋は、光の調整が大切。寝る前はスマホや強い照明を避け、部屋を暗くして、体に「もう夜だ」と伝えてあげましょう。
喉と肌を、潤す
乾燥は、眠りの大敵。寝室に濡れタオルを一枚干すだけでも、空気の乾きがやわらぎます。喉が弱い方は、はちみつや、寝る前のうがいもおすすめです。
それでも、眠れない夜には
こうした養生を試しても、どうしても眠れない夜はあります。特に、翌日に大事なことを控えていると、「眠らなければ」と思うほど、かえって目が冴えてしまう ― そんな経験のある方も、多いのではないでしょうか。
実は私自身、子どもの頃からの不眠と、長く付き合ってきました。修行中も、更年期に入ってからも、眠れない夜をいくつも越えてきました。そのなかでたどり着いた「眠れない夜との付き合い方」― 眠ろうと頑張るのをやめ、戦わずに夜を過ごすという、ひとつの考え方があります。
その体験と、鍼灸師としての見立て、そして禅の眼差しからの受けとめ直しは、有料の記事に詳しく綴りました。「眠れる人がうらやましい」「どうしても眠れない」と苦しんでいる方に、そっと寄り添えたらと思います。
▼ note(有料)にて公開しています
『眠れないあなたへ ― 「眠ろう」をやめた夜から』
https://note.com/regal_clam3571/n/n1943e8100077?app_launch=false
まずは今夜、眠れなかったら ― どうか、眠ろうと頑張りすぎないでください。眠れない自分を、責めないであげてください。
季節は、めぐります。その流れに、静かに体を添わせていけたらと思います。
合掌
