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秋バテ予防 ― 夏の疲れを、秋に持ち越さないために

朝晩の風に、ふと秋の匂いがまじるようになった。処暑を過ぎると、空が少し高くなり、夕方には虫の声が聞こえはじめる。暦は確かに、秋へと歩きだしている。

けれど、ここで気をつけたいのが「秋バテ」だ。

真夏の暑さを乗り切ってホッとした頃、なぜか体がだるい、食欲が出ない、朝起きられない、気持ちが沈む ― そんな不調が出てくることがある。これが秋バテである。実は、夏の疲れは、夏のうちには気づきにくい。涼しくなって体がゆるんだ秋口に、たまっていたツケがどっと出てくるのだ。

だからこそ、まだ動けるこの時期に、手を打っておくことが大切になる。秋に持ち越さないための養生を、東洋医学の視点でまとめておきたい。

目次

なぜ、秋バテは起きるのか

ひとことで言えば、夏のあいだに体を冷やし、消耗させすぎたからだ。

冷たい飲み物やアイス、効いた冷房 ― 夏のあいだ、私たちは知らず知らず、消化を司る「脾胃(ひい)」を冷やし続けている。脾胃が冷えて弱ると、食べたものをうまく力に変えられず、だるさや食欲不振として秋にあらわれる。

加えて、夏は汗とともに「(エネルギー)」も流れ出ていく。気が足りなくなった状態を「気虚(ききょ)」といい、やる気が出ない、すぐ疲れる、といった形になる。

そして秋口は、日中は暑いのに朝晩は冷える、寒暖差の季節。この温度差に体がついていけず、自律神経が疲れてしまう。これも秋バテの大きな原因だ。

秋バテを防ぐ、五つの養生

1. 脾胃を、温めて立て直す

まずは、夏のあいだ冷やし続けた脾胃をいたわること。朝いちばんに温かい白湯を一杯飲むと、眠っていた内臓がじんわり目を覚ます。朝食には味噌汁などの温かい汁物を。味噌のような発酵食品は、弱った腸を内側から助けてくれる。冷たいものを、少しずつ温かいものへ切り替えていきたい。

2. 「首」のつく場所を冷やさない

首・手首・足首 ― この三つは、皮膚のすぐ下を太い血管が通っている、冷えやすい場所。ここを冷やすと体全体が冷える。涼しくなってきたら、薄手のストールや靴下で、さりげなく守ってあげるとよい。

3. 湯船で、自律神経を整える

暑いとシャワーで済ませがちだが、秋バテ予防には湯船が効く。ぬるめのお湯に15分ほど浸かると、寒暖差で疲れた自律神経がゆるみ、眠りも深くなる。一日の終わりに、体をリセットする時間にしたい。

4. 秋は「潤い」と「白い食べ物」を

東洋医学では、秋は「(はい)」と関わりが深く、乾燥に弱い季節とされる。喉や肌、呼吸を潤すために、白い食材を取り入れたい。梨、れんこん、大根、山芋、白きくらげ、百合根(ゆりね)など。旬のものは、その季節に体が必要とするものを、ちゃんと備えている。

5. 軽く動いて、気をめぐらせる

だるいからと動かずにいると、気はますますめぐらなくなる。散歩や軽いストレッチで、少し体を動かして気の流れを呼び覚ます。秋の高い空を見上げながら歩くだけでも、心と体がほぐれていく。

おわりに

秋バテは、夏のがんばりの裏返しでもある。暑い季節を、私たちの体はちゃんと耐えてくれた。だからこの変わり目は、責めるのではなく、いたわる時期。涼しくなった今こそ、たまった疲れをそっと手放して、軽やかに秋を迎えたい。

季節は、めぐる。その流れに、静かに体を添わせていけたらと思う。

合掌

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